脳科学の最前線 3


追跡No.3 --- 脳科学は社会をどう変えるのか?


脳科学をCM製作に取り入れている、オーストラリアの会社がある。脳波を応用した計測機器を頭に付けたモニターに、製作中のCMを見せ、その時の脳活動を計測していた。モニターは見るだけで、アンケートなどに答える事はない。


クライアントはNAB(National Australia Bank)。数日後、モニターの反応について解析結果が伝えられた。再生経過時間を横軸に、記憶に残る残らないを折れ線グラフ化したものが使われる。動画の時はいいが、"YOU'VE GOT TO PLAN TO BECOME WHAT YOU PLAN TO BECOME"という文字列だけとなる静止画の時、成績は顕著に下がっていた。ナレーションか画面のメッセージを変えるかした方がいい、と担当者はいう。

そのCMはこちら(2007年とある。いつ撮影したものなんだろう?)


NAB広報は、「脳がそう言うのだから客観的だ。ずっと欲しいと思ってきた、最も理論的で実用的なCM製作の方法だ。」と高く評価していた。しかし、その後の変更点や変更後の状況については一切語られない。


話は切り替わる。フランスのパリ郊外にて、最新式MRIの建設が進められていた。2012年の完成を目指している。「自らを知りたい、さらに個性を推し進めたい」という曖昧な言い方だったけど、誰が何を目的としているのかを伝えて欲しかった。


キャスターは最後の方で、ありきたりの不安を述べていた。道義的に良いと思えない使われ方をするのでないかと。でも実際の処、どう使うかは大した問題でないように思う。それが評価等の道具として妥当なものである、と証明するための検証や試験をどうやってするかの方がずっと難しいと考えるからだ。


追跡No.1でやっていたように、今はどの部位が何の機能を果たしているかさえも良く分かっていない。出力結果は確かに”真”だが、これを見て「だから〜である」というのを、上述の銀行広報のように信用する事はできないな。


おわり