コーチや審判の能力

指導力の事についてではない。後天的に身に着けた能力の事だ。

回転椅子に乗せたりジャンプ中を超スローカメラで撮ったり、現役あるいはつい最近まで現役だった選手を対象に分析したものはそれなりにある。一方でコーチや審判については見た事がない。が、彼らも十分凄いと思う。年を取ってもあまり変りないようにも見えるが、定量的・定性的に実態がどうであるか分析結果を見てみたい。低下しない訳ではないだろうけど...それも含めて、謎は現役選手より大きい。

まず動体視力。ジャンプはもちろん、ステップやターンなど本当によく見ているなと感心する。しかし、一般にこの能力が高いとされる卓球選手に見せても、同じように見えるとはとても思えない。卓球は行って戻っての単純な直線運動をする球体を、概ね正面側から見る。対してフィギュアスケートは、「回転しながら回転するという惑星運度みたいな動き」をするのに加えて、「前後左右エッジを様々な角度から」捉えなければならない。スピードこそ卓球に及ばないが、比較して大量の情報を同時に処理する必要がある。

もう1つは、氷面へエッジで円などを描く能力だ。コンパルソリーをたっぷりこなす時代を経た世代だからか、人間コンパスよろしく実に見事に描く。地味ながら、最初に見た人は「へー」と、きっと思うはず。まさに職人芸。どの程度まで習得したらこうなるのだろう。

最後に、今や皺や白髪の混じりでリンクに佇む彼らの背筋は、同世代に比べてピンと伸びている。まあ、審判を氷上で見る機会は、ぐっと減ったけれど。見慣れて普段は忘れているけど、やはり往年の選手なんだな、とふと思い返しながら眺めている。

流石ですよね。