2004 世界選手権より


昨年12月にJ spoで、ベストセレクションとして再放送されたものから。荒川選手が優勝した試合で、本当はその演技を見るのが目当てだった(当時録画してなかった)。が、実際に見て強烈に印象に残ったのは、ミッシェル・クワン選手だった。


特にSP。曲は『The Feeling Begins』、衣装は白地に金の刺繍が施されたシンプルなもので、髪飾りはない。音楽がかかってわずか数秒、自身のオーラでそれまでの空気を一変させる。3つ目のジャンプを成功させて、すかさずレイバックスピンに入る頃には、もう目が釘付けになっているのが分かった。そして半時計周りのフォアクロスからコーナー立ち上がりでスパイラルへ。一発で重心移動を完璧に行い、チェンジエッジ後も微動だにしない。その後は鼻息まで聞こえてきそうな程全身から力のみなぎったストレートラインステップを行い、コンビネーションスピンで締める。最後のポーズが終わっても、まだその鋭い眼光をジャッジ席へ向けていた。


こちらがそのSP(EURO SPORTS版だけど)



う・・・上手い。スケーティングが。一歩一歩に伸びがあるのはもちろん、スピードもあるし、何より本当に自然で滑らかだ。重心移動がとてつもなくスムーズだから、右(左)足から左(右)足に乗り移る際の隙間が全く感じられないのだろう。スケーティングに定評ある女性スケーターに、佐藤有香さんや上述の荒川さんがいますが、自分は彼女のが一番見ていて気持ちがいい(もう、ここまでくると好みの問題だけど)。ちなみにこの3人の中で言うと、佐藤さんはターンなどのエッジ切り替えの間が最短なために常に氷と接している感じがするし、荒川さんはどこまでいくのかと思うぐらい最も一歩の伸びが良いように見える。


次に、解説も言っているが、迫力がすごい。その他全員が小者にすら見えた。FSではリンクイン直後、一人の乱入者がいきなりリンク上に現われ、演技の邪魔をされるというハプニングがあった。当然、彼女は怒り心頭で、まさに射殺すような眼で係員に連行される男を見ていた。不謹慎ながら、「かっこいい」と思ったほど。


本人とそのスケーティングに迫力のある選手って、一時代に一人とかそんなものだけど、本当にステキですね。