スケートカナダ観戦レポ#1-女子シングルSP-


グランプリシリーズ第2戦へ突入した。場所はブリティッシュ・コロンビア州の州都ヴィクトリア、次のオリンピック開催地のバンクーバは同州の最大都市である。リンクはSave-on-Foods記念センターである。チケット代は、女子シングルと男子シングルのある土曜日が高く、一番良い席で約6,500円らしい。スケアメよりょっと高いが、週末パッケージチケットなるものもある。シート数はなんと7,000!ちなみに、Ticketsのページには、村主選手(昨季のSPでトリノバージョンのスカート)からの写真が置いてある。カナダでは、やはり知名度があるようだ。さらに、公式サイトにはPlanned Program Contentが!普段、現地記者くらいしか、お目にしないと思っていたので、ちょっと驚いた。


キム・ユナ選手
日本の多くのメディアは”ヨナ”としてるが、ここでは”ユナ”とする。ISUでは”Yu-Na”と表記しており、コールでもユナと呼ばれてたからだ。
昨季と同じプログラムでよく滑りこまれている事もあり、これがシニア初戦とは思えない仕上がりだ。裏を返せば初々しさはないが、タンゴに乗せたメリハリも利いていていい。本人は点を見て、今一つ納得いかない様子だが。16歳とは思えない風貌から演技力がどうの言われるが、やはりジュニア上がりの選手らしく、技術点で稼いでそのまま勝ち逃げするタイプのようだ。最初に得意の3F+3TをSPから入れてきており、次世代の選手だなと感じる。3Lzはハニワ状態でテイクオフしており、よく見ると面白い。最後のCCoSpが少し流れた事以外は、ほとんどミスらしいミスもない。ほぼ完璧のはずなのだが、何かこう、思いとどまらせるものを感じた。奥でトレパン姿のまま、あっちの世界に行ってる村主選手が見える。おーい、カメラ回ってるよー。


恩田美栄選手
アレンジの一切ない、『春の海』を使っている。振付師のニコルが熱心に薦めたということだが、髪型をお団子にして簪さしたらよかったかなと思う。簪が規定で×なら、それっぽいピンを刺すとか。キャッチの両腕を上げる写真の彼女は、とても綺麗ですね。しかし、長野オリンピックの時は、ポニーテールの似合う可憐な美少女風だったのに・・・。衣装は、やはりブルー。しょっちゅう使っているので、多分、好きな色なのでしょう。ペンダントの留める部分が前にきちゃってるが、演技前にチェックして直そうよ。
最初の3Lz+2Tでは、ファーストで非常に高いのはよいが、回転が遅く着氷体勢に入らないまま降りている。そのためセカンドにすっと入れなかったようだ。こんなのよく、こけずに耐えられるなぁ。次の3Fでも同じ現象で、こちらは耐えられず、スケーティングレッグがすっぽ抜けて転倒となった。そして今回最大の見所である、I字が!とりあえず反対の手で持ってみました、という短い時間だが、軟体動物大集合みたいな現在の女子シングルによく対応してきたと思う。笑顔がよく入ってるし、振り付けは悪くないし、選曲もスケートで滑りやすいものだが、やはりこれを西洋人に理解させるのは難しいようだ。中国選手もそうだが、民族的な音楽を使って上手くいった例はまず見ないし。
あと、振付師はニコルのはずだが、ISUの登録ではジョゼになっている。何故?


スザンナ・ポイキオ選手
コーチはハイジ・ポイキオとある。よくある姓なのか。2Aから立て続けに3つ全てのジャンプを片付けてしまうという、面白い構成である。全体として可もなく不可もなくといった感じで、少々盛り上がりに欠けるかなという気がする。リンクの両端で演技する事が多いので、これをもっとジャッジ前でアピールする振り付けにするといいと思う。最後のFSSpでのキャノンボールでは、回転数も足りないし回転速度もかなり遅い。全体的にレベルの取りこぼしもありそうだが、まぁ、これからなのかもしれない。


アリッサ・シズニー選手
スピンは回転速度が速いだけでなく、シット姿勢では深さと真っ直ぐに伸ばしたフリーレッグが見事だし、Y字というよりI字体勢への変化でも速度を落とさない。スパイラルでもそれは発揮されているが、バックインでは残念ながらスピードも伸びもない。3Lzではトゥを着く前からRBIで踏み切って回転を始め、左足が離氷する時は、すでに半回転もしている。そして軸足も定まらないまま「ト」の字状態で着氷したため、チェックもむなしく制動がきかずに転倒している。2Aも降りてから若干回転しているように見える。回転時にフリーレッグが軸足にあまり絡まない、巻き足と逆の傾向があるようだ。大型選手なので、コストナー選手といい、リンクが小さく見えるなぁ。最後の決めで、音楽とバッチリずれてないと良かったかな。全体的に緩急はないが、スピードがあるため、あまり気にならなかった。最初の笑顔も見てていいですね。


村主章枝選手
黒にオレンジをあしらった衣装、オレンジは今まで見なかった色のような気がする。アイカラーがなぜ紫なのかなと思ったら、ネックレス、ピアスとお揃い。相変わらず日本選手一のおしゃれさんのようだ。
この選手の持ち味である、スピードがなく、スピンも流れていて調整不足が目に付く。特にLSpは内容があっさりしすぎだ。確かめるように恐る恐る要素をこなしていってる感じを受ける。構成としては、得意のUSpをバリエーションの最後に持ってきたCCoSpで盛り上がりのキッカケを作った後、SlStでまとめていていい。某振付師のそれと違い、くどい手の使い方もなく、ステップは一番よかった。全体にもっと滑り込んで、密度を濃くし、曲ではなく自身のパフォーマンスで盛り上げるようにしていって欲しい。
フリーでは第二グループ1番滑走のようだ。クジでそうなったのではなく、「遅れていったら、そうなってた」との事。あのーノービスの選手じゃないのでーその辺ー何とかなりませんかー?大丈夫かなこの人。コーチもしっかり見張ってて下さいよ!審判の印象悪くなったどうするんですか。ベテランの癖に、どうでもいい所でさえ、ファンを心配させる人だ。


テレビ朝日・・・聞いてるだけでムカムカしてくる、アホなキャッチフレーズが今回も光る。「銀盤のプリマドンナ」「情熱のステップ王子」「元祖 天才ジャンパー」しかも、今回SPなのに半分以上の選手がカットときてる。体硬い3人衆よ、許すから氷投げちゃえ!