今季お気に入りのプログラム 3


昨日の続き。男子シングル、日本のトップ3選手について。


高橋 大輔選手
まずFS『道』は何度見てもいいと思えなかった。引き合いに出して申し訳ないが、鈴木選手のFS程露骨ではないものの、2つのステップ(特に後半の)で全ての帳尻を合わせようという作品に見えて仕方ない。振付けをしたカメレンゴ氏の作品について、男子シングルでは南里選手のぐらいしか知らないけれど、その何作品かと同じ、「いくつも出したアイデアをきちんと推敲できずに纏まってない」ように見える。実際は、それなりに削いだのだとは思うが、捨てるべきを捨てきれずパントマイムでチョロチョロ残してある。作品としての一貫したコンセプトもあるようなのに、余計なモノに邪魔されて生かされていない。前半などただ滑って跳んでいるだけのジャンプやスピン、都度無駄に足を殆ど止めてしまうパントマイム、そしてステップとはっきり異なる3つの流れができてしまう事に。中堅クラスならともかく、トップ中のトップ選手がこれというのはちょっと・・・。それまでが本人のリズムとも違うためか、強制的に自分仕様にした見せ場のストレートラインステップとは特に分離している印象が強い。あともうちょっとなのに最大燃焼までいかず燃焼不良になっているというか。演技後のインタビュー見ても常にそんな感じだし、一番本人がそれを感じてそうでもある。選曲はともかく、イマイチなプログラムだった。
SP『eye』の方がやっぱり作品としてはきちんとしていて良い。が、何だかオッサンが若い頃踊ってたダンスを、最近ちょっと運動したのでやって見た、という感じになってしまった。


織田 信成選手
SPについては、FSの”楽”に対し”怒”で対比させたり、狙う意図は明確で良かった。が、同じ”怒”でも違うコンセプトや曲を持ってくるべきだったかと。単純な感情は不必要な程メディアにも出すわりに、肝心な部分はコーチらに出してないという捩れた性格みたいなので、こう直球なのより複雑な”怒”の方が合ったのかもしれない。衣装もせめてハイネックだと良かった。でも、こちらの方が何故か気持ちが入っている。謎だ。そういや昨季のSP『仮面舞踏会』はほぼ完成していたのに、何故か四大陸から改悪したしなぁ(これも謎でしかない)。”陽”のプロしか出来ないというイメージを、いい加減払拭したいトコロ。あと、振付師の言った通りに動くのは良い事だが、トップ選手なのにそれをより膨らませる方向へ自ら動かないから、未だにジュニアくさいのだと思う。
FSは前日のエントリにあるため省略。


小塚 崇彦選手
SP・FSとも振付けが悪すぎで気の毒にすら感じた。しかもその焼き直しみたいなのを、アボット選手の方が上手にするもんだから(それでも元の振付けが悪いせいでまだダサいが)、一層表現力のなさが引き立つ。特にFSなんて、本当に最初から最後までただひたすら要素をこなしているだけにしか見えないときている。五輪という意味では、両方最悪といえる選曲だとも思う。少なくとも片方は、「誰もが知っている」とか「明るくノリのよい」ものにすべきだった。SPとFSが両方ともギター曲というのも、相乗効果で自滅しているとしか思えない。シニアデビューしてはや4年、もう21才だというのに、競技プロで傑作品と呼べるようなのがないのでは?強いて言えば2008-2009のSP『Take Five』辺りか。環境はこれ以上ない程最高に良く、選手としてもすこぶる運にも恵まれているようだが、これだけは手に入らないのだろうか。スケート連盟も口出せばいいものを、税金泥棒といいたくなる。とにかく、振付け & 本人にセンスなさすぎ。



何かねー残念。