2011 世界選手権 米男子シングル

先月26日〜今月1日にかけて開催された、世界選手権の米男子シングル3名について。以前書いたこの記事に対する内容。場所はモスクワのIce Palace MEGASPORT。比較的新しいため内部も外観もキレイだけれど、作った当初よりエントランス部分が思いっきり雨漏りもしていた素敵な建物だ。直ったかなあ。


さて、ジェレミー・アボット選手とアダム・リッポン選手の実績を特に考慮せず、全米選手権の表彰台組をそのまま送り出した米スケート連盟でしたが・・・。やっぱり正解でしたね。来年の出場枠こそ3->2に減ってはしまったけれど、若手(という程若くもないけど、まあ)2人の内容は素晴らしいものでした。今大会のメダリストを見ても、全体的に世代交代しているなという感じでしたし。


世界選手権 ---
9位 : ライアン・ブラッドリー選手(27)
11位 : リチャード・ドーンブッシュ選手(19)
13位 : ロス・マイナー選手(19)


四大陸選手権 ---
3位 : ジェレミー・アボット選手(25)
5位 : アダム・リッポン選手(21)
7位 : アーミン・マーバヌーザデー選手(20)



各人の所感については以下の通り。


ライアン・ブラッドリー選手
同グループ内にあって浮いてるなと思った。特にFSの方。氷の上を”滑っている”というよりは”歩いている”ように見える。腰が全然下がらないし。4Tを計3回も入れたり、単純にジャンプ構成だけ見ると「アメリカ1番手」という感じだが、全部を見るとやっぱりスケートってジャンプだけじゃないなぁと。ひどく緊張しているのも伝わったが、しかし「絶対滑りきる」という強い意志を感じた。ここが今シーズン、アボット選手やリッポン選手にないものだったと思う。


リチャード・ドーンブッシュ選手
全米と異なり、今大会はSPの方が良かった。Y.キム選手に近い、”スピードに乗った、全体を1つの流れとする作品作り”が出来るタイプだなと改めて思う。彼の作品は見ていて面白い。もっと早くシニアに上がってきて欲しかったな。今後4回転も必要になるだろうけど、ルッツとフリップのフォームを直さないとマズイと思う。FSでは続くミハル・ブレジナ選手と2人して目立っておかしかった。それでも跳べる男性の筋力にも感心するが、20代になると失敗確立が上がりそうだ。それにしても、19才の割りにオッサン臭い顔だ。彼の作品については、時間があれば別にまた書きたい。シンディ・スチュワートさんという、ルー・チェンのプログラムも手がけた振付師みたいですね。


ロス・マイナー選手
FSの滑りはお見事。見た目、スケーティングは3人の中で一番上手いですね。スピードは2番目っぽいけど。やっぱり今後4回転も必要だけど、こちらはアクセルがかなりマズイかと。5カウント目に跳ぶというスタイルであるため、バックアウトで滑ってくる時間が長く感じるのと、目立って変なフォームから跳んでいるのが気になる。ルッツとフリップのそれはキレイなのに。地味な処と合わせてスティーブン・キャリエール選手を思い出した。同じ運命を辿らないといいけど。あと、ループもかなり癖がある。全体的にかまえも少し長いかと。来季のFSはもっといい振付けだといいな。いい振りもそこそこあるけど、継ぎ接ぎで構成されたかのような印象だ。



来年、また熾烈な全米選手権となりますが頑張って欲しいですね。