2006 東京フィギュアスケート選手権大会 観戦レポ


明治神宮外苑アイススケート場にて開催された、国内大会の1つである東京ブロックのものを観戦した。このスケート場は、他のリンクと比べても寒いという噂だが、全く噂に違わず、その通りである。日中東京は暑いくらいであったのを、我慢して暖かい格好をしていったつもりが、本当に体の芯から冷えてしまった。よく知ってる人達の中には、わかさぎ釣りにでも行くような服装をしている人もいるぐらいだ。ジャッジ達も支給されたと思われる膝掛けをしていたが、足元にすら暖房器具がない中、黙々と作業をしていた。ここで審査を担当する話がきたとき、「あそこ寒いからやだなぁ」とか思ったのではないかと。シニア男子SPのときは、Technical Controllerとして、藤森 美恵子さんも来ていた。


観戦側にとって本大会一番の目玉である、中野友加里選手が殆ど最後、20時ぐらいにSPの演技を行った。予想どおり、一人別な大会に参加しているようだった。競技得点(TSS)は総要素点(TES)と総構成点(PCS)の合計から減点分を引いたものであるが、TSSが中野選手のTES(またはPCS)にすら届かない選手もいる。コンビネーションジャンプが、ファーストジャンプから失敗してまるまる抜けたにも関わらずだ。世界選手権に出る選手を何人も手がけた佐藤信夫コーチの下、Marina Zueva(マリーナ ズエワ)というこれまた一流の振付師が作ったプログラムを引っさげての出場なので、他の選手達と同じ土俵で戦うのはそもそも間違っている気すらする。滑りは音のない、トップ選手に相応しい、スピード感あるものだった。同じくらいのスピードを出す選手は他に何人かいたが、ストローク1つから生み出される”もの”が違うため、運動量にかなりの差があるように見える。換言すると、他の選手は何回も蹴るところを、中野選手は1蹴りで同じだけのスピードと距離を出している。
ドーナツスピンは健在だが、途中に上げる手を、昨季のピョンっと出す感じから、ややゆったりとなっていい感じだ。昨シーズンは、誰か指摘しないのかと、非常に気になっていた。それにしても、ドーナツスピンもすごいけど、キャッチフットのような(風見鶏のような?)姿勢であれだけのスピードを出して回れる事の方が、もっとすごいように思う。ビールマンスピンも復活させていたが、こちらは、明らかに回転速度が落ちる。レイバックスピンは、今季からビールマンを入れないとLv4をとれないため仕方ないのだろうけど、スピンの名手なので、ない方が全体の速度バランスが保てて良いのになと感じた。スピンは姿勢変化や足替え、チェンジエッジなどを行うので、一度これに入ると必然的に長い。他の選手とは2〜3倍の差を感じた。スケーティングスピードは主にPCSを上げるために速くするものかと思っていたが、こういった要素に時間を割くためにも、必要なのだと改めて分かった。ちなみに、エキシビジョンと違って、紫のヒラヒラスカートタイプの衣装だ。
※中野選手は、エキシビジョンとSPで、基本的に同じプラグラムを使用している。


食堂にいるとき、中野選手と至近距離で会った。驚いたのは、想像よりずっと小柄だった事だ。「うわっ小っちゃい」っと心で叫んでた。そして、TVで見るよりも美人さんで、穏やかな印象を受けた。佐藤コーチもいたが、ほとんど対角線向こう側にいたので、顔が良く見えず残念!