2007世界選手権 観戦レポ#01


3月21日(水)、男子シングルSPとペアFSを観てきました。10時過ぎから23時頃までの長丁場でしたが、かなり希望に近い結果となり、大満足です。今回のお目当ては、シングルのバトル/ジュベール/高橋選手、ペアのチェン・ツァオ/サフチェンコ・スゾルコヴィー/井上・ボールドウィン組です。表記は、【選手名#滑走順.グループ番号】。


ブライアン・ジュベール選手#38.G8】
唯一4(T)+3(T)を決めただけでなく、全体的な演技の質も文句なく1番だった。凄い事を、あまりにサラっとしたせいだろうか。スタンディングオベーションは少なかった。6分間練習の時驚いたのが、3回転ジャンプを降りる瞬間だ。身長もさほど変わらない選手のそれに比べ、本当に軽く着氷するので、2回転しかしていないように感じる。4回転をあれだけポンポン飛ぶはずだ。存在感は圧倒的だった。
車を運転するパフォーマンスで、「ギアをトップに入れて、ハンドルを回す」というのがある。両手の平の位置からみて、どう考えてもステアリング大きすぎ!加えてほぼ垂直に付いているように見える。しかも、もう一度ハンドルを回すパフォーマンスの時と、ステアリングのサイズが違うし。車変えたという事?あと、彼の背中にある「007」が演技の冒頭でクローズアップしたのは笑える。誰でも気になるよね、アレ。


ジェフリー・バトル選手#35.G7】
3つのジャンプ全てで着氷が「おっとっと」となったものの、特にミスもなく良い演技でした。元々の人気もあるのでしょうが、演技の出来のよさから男子で2番目に多いスタンディングオベーションに。高いチケット代払っても、行ったかいがあり、素直に嬉しい。高橋選手は曲と共振を起こす感じなのに対し、彼は曲と一体化するタイプであるため、SlStとCiStをつなげた長いステップ時は、空気に溶け込んでいるかのようだった。ただ、全カナダ程の会心の演技ではない。キスクラで右にバーケルコーチ、左にアルトゥニアンコーチに挟まれ、男同士共に喜ぶ姿も中々良かった。2コーチとも、日本人選手と対する時は、随分違う。付き合いの長さの違いや大人の選手相手という事もあり、戦友と一緒にいるような、落ち着いた雰囲気がありました。
#リー・バーケルコーチ : 織田信成選手、ラファエル・アルトゥニアンコーチ :浅田真央・舞選手


高橋大輔選手#40.G6】
全日本から時間が空き、ピークを逃したのではと、ちょっと心配だった。1、2位を除いては他も出来が良くないので、何とか3位に。しかし、それでも3位ともいえ、全日本の時の彼なら、ジュベール選手とも十分張り合えたのにと思うと残念。
本人も言っている通り、スピードも切れもなく、また音楽と合ってなかった(まぁ、それでも平均より遥か上だが)。ぜひFSでは1位に!
#ダビドフ選手と、身長といい、衣装といい、よく見ると被ってる。



ジョニー・ウィアー選手#39.G8】
相変わらず美しい3Aは、全選手中トップだったと思う。特に着氷後がよい。が、全体的には、2位になったのがいっそ不思議な位だった。SlStの辺りから、すでにバテているのが分かる。そのせいで完全に音楽負けしてしまい、置いて行かれないようにするのが精一杯という印象だった。オフトレちゃんとしているのかが気になる。ここ数年、いい成長曲線を描いてない気がする。


エヴァン・ライサチェク選手#36.G7】
アメリカの俺様登場。予定通り?SPで出遅れ。例によって、FSで怒涛の逆転劇を繰り広げるか?蛇腹のような膨らみのある袖になって、衣装が微妙だった。まだ安定したとはいえない4回転を入れてくる辺り、らしくていいです。態度がデカいせいか、風格もある。
#何人かに、「インタビューなどから嫌な性格の持ち主で、周りにいて欲しくないタイプだと予想している」といったら、嫌いなのかと聞かれた。とんでもない。むしろ、やな性格の方がいい演技すると思ってるくらいなので、褒め言葉ですよw


ステファン・ランビエール選手#37.G7】
3A転倒、4T→3Tまでは読み通りだが、まさか3+3まで入らないとは思わなかった。そしてこの選手のスピンを初めて、”速くない”と感じた。世界チャンピオンをあまり下へ行かせる訳に行かないと踏んだのか、内容に反してやったらめったら高いPCSを見て、興冷めさえした。明らかにやりすぎだ。


【トマシュ・ヴェルネル選手#34.G7】
その人気ぶりにびっくり。公開練習の時からだったようだ。よくカットされるし、ダビドフ選手らと同じ、CSでもフィギュアを見る連中ぐらいにしか名前も知られていないと思っていた。演技後、ピンクのハート型座布団がたくさん投げられ、その内の1つを使ってキスクラで愛嬌を振りまいているのを見て、ようやく納得。しかし、本当にびっくりしたのは今季の彼の躍進振りだ。一昨年、去年、そして今年とすごいスピードで成長してきている。欧州選手権はエントリなし->10位->2位、世界選手権は予選落ち->13位->?。欧選では、1位のジュベール選手の横で、自分が優勝したかのように大喜びしていた。自信もついた事だろう。そろそろ、トップ選手の仲間入りなるか?


エマニュエル・サンデュ選手#42.G8】
彼の不思議衣装&演技も気になるが、それ以上だった6分間練習の内容について。ジャッジ席と対向側で、やや右側、多くの選手が3Aを行った場所で3loの練習をしていた。入れるとすれば、当然ステップからの単発ジャンプになるが、このレベルの選手なら普通LzかFだ。変だなーと思っていた。しかも、1度目はすっぽ抜けたため、すぐにもう一度行った。見事3回転し、本人も満足気(遠かったが、きっとそう)。駄菓子菓子、本番ではLz・・・、コンビネーションもTだし。あれって一体?SPを目前にしてFSの練習?わっ分からない人だ。嫌でも目に入る位置にいた訳だし、ジャッジも何でlo飛んでたんだろう?と疑問に思ったに違いない。公開練習でも、終わりのアナウンスが英語(彼はカナダ人)でもあったのに、我が道を行ってたらしい。


織田信成選手#33.G5】
会場に2つ設置された巨大パネルに映った演技直前の顔を見て、”マズイ”と思ったが、やはりその通りに。というより、実際には全日本以降、少し発言内容が変わっていたので、この頃から心配だった。それまでは高橋選手をすぐに追いつける存在として見ていたのが、NHK杯に続いて完敗した事で、自ら”下”と認識したかのような発言となったからだ。4回転が中々習得できない事もかなり響いたと思う。明らかに目に力入ってない。
演技後のインタビューでも「何が原因か分からない」と言っていたらしく、今回の失敗原因は技術や体調ではなく、精神的な問題だろう。だからキスクラでも、あまり悔しそうじゃない。
#アナか実況が「いつもと変わらぬ笑顔」と言っていた。節穴かお前の目は。


ロシア選手が何と22位のセルゲイ・ボロノフ選手で最高位。時代は変わった・・・。ミシンが最近丸くなったのを見て、年取ったなとちょっと悲しくなりました。