2007世界選手権 観戦レポ#2


ペア競技を初めて観戦しました。リンク近くで見たら、どんなに迫力あるかと思うと、チケット取りにもっと力を入れればよかったと後悔しました。でも、チェン・ツァオ組の優勝演技が見れて良かったです。まだ放送見てないので、間違った事書いてるかもしれません。


【チェン・ツァオ組#18.G5】
どの種目でも、最終グループは他グループとはスケーティングからして違うものだが、
この組はその最終グループの中でも格違いだった(ソロスピンは見事にズレてたけど、ご愛嬌ということで)。ジュベール選手と同じく、力を抑えた余裕の演技にも関わらず圧巻の出来栄えで、当然スタンディングオベーションに。息の長いペアで、凄まじい距離のスロージャンプと高さのツイストリフトで上位に食い込んでも、アクロバットだと叩かれたりした。実際、特にチェン選手が能面のようだったりして、技だけという印象だった。彼女がこんなにも穏やかな笑みを浮かべて演技するとは、全く考えられなかった。二人で作り出す雰囲気もそうで、白人じゃないから無理だという風潮だったが、今や文句のつけようがない状態に。迎えるコーチも喜ぶというより、彼らに敬服しているかのようだ。背中を向け合った状態から後ろに引いた足を絡ませ、互いを前へ持ってくる所が特によい。あと、見つめ合いながら滑るパートが1箇所あるが、やはり男女ペアなので、どこかで入れた方が柔らかい印象になっていいなと思う。おめでとうございます。


【パン・トン組#20.G5】
この組も本当に長年よく頑張っているなぁと感心するのだが、やはりチェン・ツァオ組と時を同じくしたのが辛かった。しかも同じ中国だし。中々独特のアラが抜けなかったが、昨季からトップ組らしい滑りになったように思う。PCSで8点を1つ、欲しかった。でも、全体として素晴らしい出来だった。新調した衣装は変だが・・・。


【井上・ボールドウィン組#16.G5】
好調なボールドウィン選手と対照的に、井上選手はミスが目立った。この試合で引退するらしいが、キスクラでもずっとさすっていた腰にも原因あるのかも。スロー3Aは、軸も傾かず着氷直前までは全然問題なかったのに転倒。実に惜しい。井上選手の腰が、強烈な着氷のショックを、吸収できなかったのではないかと。何とかソロコンビーネーションジャンプだけは持ちこたえたが、それ以外は全て着氷失敗となった。彼女は演技中も、演技後も殆ど表情が変わらないが、どんなに失敗しても今回だけは笑顔を入れて欲しかったな。しかし、スロー3Aのパイオニアにはなったので、選手として最高の喜びも味わったと思う。オリンピックでも決めたしね。ボールドウィン選手はよく足も上がるので、スパイラルは見栄えがした。お疲れ様でした。


【ジャン・ジャン組#10.G3】
SPから精彩を欠いていたが、スランプなんだろうか。元々そうだが、スケーティング遅!ソロスピンも非常に遅くて何だか止まりそう。ペアスピンはハオ選手の力技で回ってるし。リフトは抜群で、途中ダン選手がハオ選手の肩をネコのように手で歩く所が特に良い。同じペア選手でも、体格差がないとできない芸当だろう。中国ペア全組にいえるが、もうトップ選手なので、もう少し緩急をつけて柔らかい部分を出せるようにすると映えてくると思う。まだ、どことなくJr.っぽさが抜けきってないんだよなぁ。キュートさとシャープさを使い分けて、垢抜けた演技にしていってもらいたい。デススパイラル中、ダン選手による姿勢変化がある。できれば、ガクン!とならずスムーズに移行できれば最高かな。


【川口・スミルノフ組#19.G5】
今回のダークホース・・・とはならなかったものの、SP4位、FS10位、総合9位はすごい。しかもロシアから選考なく指名でエントリとは(まぁ、それだけロシアのペア層が薄くなってる、という事なんだけど)。それにしても、川口選手の細さ、足の長さ、そして柔軟性は素晴らしい。これで顔がもう少し小さければ。顔の表情も分からない程遠い位置から見てたのに、なぜか川口選手が口を開けるのだけは、やたらはっきり分かった。まだまだサーカス状態だが、王国の威信にかけて、どんどんレベルアップを。あと、衣装は大至急大幅レベルアップしてくれ。
#川口選手を見ていると、『プリンプリン物語NHKのミュージカル仕立て人形劇)』に出てくるカセイジン(そういう名前の男の子。)を思い出す。知っている人には納得してもらえるかと。しかし、古いな自分。


今回の結果を見ても、日本でペアを育てたい場合、男性選手の調達が最大の課題ですな。身長が高く、力持ちで頑丈、そしてある程度人間のできた(スケータ選手比)のが必要だ。シニア選手は、小っちゃい者クラブ(165cm以下限定)部員ばっかり上であるし。当面は”逆輸入”し、しかし練習は海外でという方向でないと無理でしょう。突然ブレード付きで高速スライディングされたり、上から降ってきたり、人間台風しながら飛び込んで来たりされては、たまったものではない。