#7 バス


スーツケースも受け取り、現地時間23時前には動けるようになった。バスはその23時頃が最終であるため、タクシーの利用を考えていたが、何とか間に合いそうだった。


前回書いた通り、空港内のキオスクで切符を求めたが、「売り切れよ。バスの中でも売ってるから、そこで買うといいわ」との返事。気を取り直して正面玄関へ出た。


横殴りの風に混じって雪が吹きすさぶ。空港といい、自然の方も無色無臭のイメージで、存在感のあまりないアッサリとした吹雪だった。ただただ気温が低いというか。ロータリーまで出て左手に、向こう20mぐらいまでバス停が続いている。強い向かい風と歩きなれない雪のため、妙に遠く感じた。人っ子一人いない。”本当に来るのか?””こんな時間だし、ずっと前に出発したのでは?””やっぱりタクシーにすべきか?”と考えていたら、左前方に”2番”と表示をしたバスの姿が。2番はホテルに程近い旧市街へ行くと知っていたので、その先まではあまり調べてなかったけど、エイヤで乗り込んだ。


バスは前乗り。運転手に挨拶すると、少し強張った表情をされた。そのお爺さんに吹出しがあったら、「うわー外国人じゃあ!どないしよう」と書いたと思う。取って食ったりしないから。1.68€を払い、切符を受取って出発。運転手の負担軽減のため、わざと券売機などで買うより少し割高設定なのだとか。


ICカードを持っている場合、右に見えるオレンジ色のリーダにかざす。内部で打刻される。












やっぱり『今日』は長いなぁと思いながら、自分以外は乗客のいない車内中央に座席した。モスクワで5時間ほど巻き戻した腕時計を、さらに2時間分戻す。日本で朝起きてから26時間が経過しようとしていた。