#8 親切


車内で『地球の歩き方』を急ぎ再チェック。旧市街最寄の停車駅はA.Laikmaaだった。そこでトラム(路面電車)に乗換えればOK。仮にダメだったとしても、向かうホテルはその旧市街を挟んで対角線上辺りだから、最悪そこからは歩いていけると考えた。旧市街は観光名所なので、迷ったらそれこそタクシーを拾えばいい。


A30 地球の歩き方 バルトの国々 2011?2012

A30 地球の歩き方 バルトの国々 2011?2012

車内自動アナウンスの聞き取りは厳しそうなので、運転手の元へ。しかし、「トラムに乗継ぎたいので、A.Laikmaaで降ります」と何回言っても、発音の問題で伝わらない。誰もいないので、しばらくエストニア語と下手くそな英語で言い合いをする。・・・埒があかない。ので本にある文字とトラムの写真を見せると、アッサリ「ああっ”Laikmaa”かい。了解、了解」という様子に。早く見せればよかった。途中、女性客が一人乗ってきたが、停留所よりもっとトラムに乗りやすい場所で降ろしてくれた。


横断歩道を1つ渡ってすぐのトラム乗り場へ。この辺りでは中心部なだけあって、遅い時間なのに結構人がいる。向かい合わせになっているホームのどちらで待てば良いか不安だったため、隣にいた大学生くらいの女性に確認した。今自分のいる側でいいらしい。この国では、年配でなければ大抵英語がそこそこ通じる。


で乗車。そして、これまた停車駅の発音が・・・。というか、そもそも話し声や駆動音で殆どアナウンスは聞こえない。加えて乗客が多いから前の車両の先頭にいる運転手の所まで行くのは難しい。という事で、帰宅途中らしきエストニア男性に、地図を見せつつ聞いてみた。ふ、同じ轍は踏まんよ。しかも、「ちょうど良かった。僕も同じ所で降りるんだ」という。ラッキー!明るく気さくな人で妙に意気投合、お互い上手くもない英語で10分程度話を楽しんだ。うんうん、これが旅の醍醐味の1つだ。


結局、彼はホテルが見える位置までわざわざ寄ってくれた上に、スーツケースも持ってくれた。多少は緩くなった吹雪の中をガシュガシュと歩いていても、沢山の親切にあった嬉しさで体は熱い。この雪も例年に比べてかなり少ない事も、ついさっき知った。皆さん、本当にありがとう。恩返しのつもりで、日本に来た外国人には親切にしようと改めて思った。